軽くハイ、震える

何だかここ数日また、手の震えがひどくなってきてる。去年は震えが止まらなくて、そのまま倒れてしまったりもしたけど、今年は大丈夫だったのにな。これはリチウムのせいだと思うけれど、もしかしたら頭の神経がいかれてるのかも知れない。最近では首の震えが止まらなくなるときもある。ネットで調べてみたら原因は不明で、40代になれば十人に一人くらい、こういう症状が出るらしい。早熟みたいだ。若い時から手の震えが止まらなかった伝説のタトゥー・アーティストであるトム・デヴィータさんを知っているので、少々なら気にならない。
去年と一昨年、大変退廃的な暮らしを送ったので、体調がなかなか良くならない。とは言っても精神状態は格段にいい。視力は悪くなったし、歯は何か、どんどん欠けて抜けてくし、内臓は痛む気がするし、頭痛が起きるようになったし、歩いてて一瞬意識を失うことがあるし、髪は薄くなっている。でもまあ、それも愛おしいと言えば愛おしい。頭が狂わなくて、絶望しなくて、生きていられればいい。そうすれば、愛着心を抱いたまま死ねる。何も好きじゃない、っていう状態になりさえしなければ、生きることは素敵だ。多分、綺麗事だけれど。

作りたい曲がある。詩では多分書けないこと。殺人者と、殺された人が歌う歌を作りたい。書きたい詩がある。小説も書きたい。

すごく調子がいいと思ったのに、血圧を測ったら190もあった。あんまり良くないのかな。

街の底

カレンダーにはドット線。青い雪。
終着点は今日
産まれ付いた月、日の中にいくつもの光源、
いくつもの番号、いくつもの残照、

嫌悪感によって私は人生の収束点としての今と
滲んだ並行関係を保っている

裏切りに鈍感になっていく。
皮膚の裂け目へと連なる神経の電源を絶つ。
空は葉脈のよう。

遠ざかる私は目を細めていく。
あちこちに伸びたプラグが見える。
私はそれらを引き抜き、結び、たわませていく



ピアノのループ。夕暮れは透明な麦を風に散らせる。
身体は青い霧。太陽に透けて和音を奏でる。

私はコピー。
君が誰でも、私は笑っていられる。
私は歌われる私。
指先に弾かれた、喜びの歌が終わると、
私の会話の基調には笑みが含まれている。



やがて最後の回線が用済みとなったとき、
人々は自然に、
自分自身を産み出すだろう。
微笑みかけ、産まれた自分へのメッセージとして
古い自分を、山の上の共用墓所へ運ぶだろう。

そこで私は談笑している。
私はいたたまれなくなり、
手足を感覚の無い場所から切り落としていく。
人々は見守っている。

弔いは、既に無限の段階を経て、
私を、空の底から覆っているだろう。



宇宙なんか要らない。
原子炉から花が咲く。私の心臓が食べた温度を
感情は知らない。

二階は砂場で三階は浴場。

太陽を圧縮して浴びればいい。

服の上から心拍を数え合いたい。
(やわらぎは流れ、霧のように、目映く。)

思い出は、何処で鳴っている?
私の夕陽は。

(私の仮名はいつかの地上に着地する。)
(運命は未来になれなかった記憶。)

腕に巻いたビーズを
ひと口ずつ含んでいく。

太陽は階段の影に。

蝶の視界に映った花びら。
私は網膜の池に、爪先を浸しかけた


憂鬱な夢が
私を形作り、
分解していく、

これも、
朝の焦点が甘く
私を引き結ぶ
までのこと。

ミミ

後ろを向かないで ミミ
あなたの遠い故郷が待っている
そこでは砂場でシグナルを送り合う
かつての街の信号機は、
青くなって唾液のように揺れている

天国があるとするなら、それは
いつも定員が一人なんだよ
だから、
だから私たちは産まれたんだ

私の居場所が伝わるといいな
そこは琥珀色で、ままごと用の
古い指輪屋さんがある
子供たちは黒い影となって並び、
大きなガラクタの、
カメロボットに見入ってる

だから ミミ
街の中に街を探して、
街を離れて、
また街に、あなたを探して
電線の上、ヘッドホンの中、
山の手の雲、それから、夜のアスファルト
ふとあなたは、子供の頃の未来のあなたに
見詰められてる、あちらとこちら
天国の中、それともここは?

ニック・ドレイクが歌ってる
空と森との中央辺り、泉の傍の
彼自身の墓地で

赤いブランコが揺れている、
子供たちはもう殆どが影に隠れて
ひとりがブランコに手を掛けている

ねえ ミミ
上を見るんだ、私たちはサカナではない
手を取り合える、砂場があるんだ、
君の中に君の天国はある、
僕の中に、君の中に
街の中に、街の甍の緑の上に、
僕たちの手の中に、
今でも故郷は揺れている、
その林と、母なる風に
生きている内に
ミミ
天国で会おうよ

きぐるみのモノローグ

「えへへ、それでね
「肋骨を開くと、クリスタルドームみたいになってるの
「果てなく消えていくための扉があるというわけ
「この世界は全て心の出口
「なら入り口は
「それは私だけ
「私だけの秘密
「触れたければ、
「手を入れてみればいい
「私の肋骨は扉になっていて
「そこは世界の入り口になっている
「私はあなたのおかしさになっている
「変な意識で私はあなたの右手になっている
「あなたの好奇心になっている!
「理屈では私はあなた、明日の
「あなたは私の好奇心から発した。
「と、語り終えられたときには
「この場所で好奇心を肯うものは
「あなた、と
「触れた手先の、固さ、冷たさ
「私の、小さな死の予感
「これ、だけ

「ならば、
「心とはあなた、
「あなただけ
「どうか
「どうかどうか

「あんまり変なリズムを覚え込ませないでくださいね
「それで
「変とは全てがニュートラ
「時制が一方に加担しない閉塞
「神さまの優しさを言うのです。