小説

氷が水に変わる場所

1.僕理沙は冷たい拡がりを纏っているみたいだった。 関わり合わない限り人間同士は、いつまで経っても、別々の宇宙人としての、遠い、遠い隣人同士なのだと思う。一度人と深く関わり合う決心をしてしまったら、広漠な世界へと続くはずだった自分の部屋のド…

僕では無いかも知れない(抄)

*「どうせみんな死ぬんです」 7は言った。ベッドの縁で足を組み替えて、それから目配せをしたので僕は灰皿に手を伸ばして、ベッド脇のテーブルに置いた。ラジオからは「スプーン・エイジ」というタイトルの黄色っぽいような、エレキギターを高音を多用した…

雨の日

喫煙所には灰皿が二つ置かれているのに、地面には吸い殻が散らばっていた。大分前から管理されてないらしく、灰皿は吸い殻でいっぱいになっていた。そこは展望台のようになっていて、天井がなく、見るべきものと言えば空くらいなのに、今は細かい雨が降って…