ミミ

後ろを向かないで ミミ
あなたの遠い故郷が待っている
そこでは砂場でシグナルを送り合う
かつての街の信号機は、
青くなって唾液のように揺れている

天国があるとするなら、それは
いつも定員が一人なんだよ
だから、
だから私たちは産まれたんだ

私の居場所が伝わるといいな
そこは琥珀色で、ままごと用の
古い指輪屋さんがある
子供たちは黒い影となって並び、
大きなガラクタの、
カメロボットに見入ってる

だから ミミ
街の中に街を探して、
街を離れて、
また街に、あなたを探して
電線の上、ヘッドホンの中、
山の手の雲、それから、夜のアスファルト
ふとあなたは、子供の頃の未来のあなたに
見詰められてる、あちらとこちら
天国の中、それともここは?

ニック・ドレイクが歌ってる
空と森との中央辺り、泉の傍の
彼自身の墓地で

赤いブランコが揺れている、
子供たちはもう殆どが影に隠れて
ひとりがブランコに手を掛けている

ねえ ミミ
上を見るんだ、私たちはサカナではない
手を取り合える、砂場があるんだ、
君の中に君の天国はある、
僕の中に、君の中に
街の中に、街の甍の緑の上に、
僕たちの手の中に、
今でも故郷は揺れている、
その林と、母なる風に
生きている内に
ミミ
天国で会おうよ